番組への
メッセージ

2022年8月18日(木)SENRI・STREET

こんにちは!
SENRI・STREET 木曜日の岡村 陽子です。

8月18日放送の「こんなのみぃつけた」では、夏休み期間ということで、豊中市からちょっと足を伸ばして池田市から、逸翁美術館で開催中の「ひゅうどろどろ怪奇まつり~歌舞伎に出てくるオバケだぞ」をご紹介しました。
 逸翁美術館は、阪急電鉄をはじめ、多方面で活躍する実業家であったと同時に、文化・芸術面にも造形が深かった小林一三が収集した美術工芸品を所蔵しています。  

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 今回は、学芸員の太壽堂 素子様にお話を伺いながら、役者である人間が演じ、歌舞伎の中で作り出された仕掛けで動いている人工的なオバケたちを鑑賞してきました。会場ではオバケたちは「ゾクッ ギョッ クスッ」という3つに分類され、展示されています。

 まず最初は「ゾクっ」とする怖さをもつオバケのコーナーです。江戸後期の文化・文政期のセレブたちは、歌舞伎の中で演じられる、最下層にいる人間が、極悪非道な悪事をはたらいたときに見せる危ない色気で引き立てられたゾクッとする怖さを楽しんでいたといいます。実際の事件を少し混ぜたストーリーの残酷さと不気味さ、笛や太鼓を使ってひゅーどろどろとオバケの存在を表す音響、本物の火で燃える提灯から亡霊が出てくる提灯抜けや、役者が何役も素早く演じ分けていく早替わりなどの大きな仕掛けの要素が相まって怪談話が大ブームになりました。恨みや嫉妬などでおどろおどろしいオバケになったお岩さんやお菊さんなどが描かれている絵画は確かに怖いのですが、音響や仕掛けのお話を伺ってから見たので、ここではどんな仕掛けがあったのかな?音響はどんな感じだったのかな?と想像しながら楽しむことができました。

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 続いては「ギョッ」とする驚きのコーナーです。巨大化した動物や、架空の生き物など、通常と違う形状に変化するオバケたちが出てきます。美しい女性の姿から怒りのあまり蛇の本性を現す見顕し(みあらわし)。火を吹くシーンで一瞬にして衣装が替わるぶっかえりという仕掛けを描いたものや、天狗、ぬえ、茨木童子といった見たことのない生き物の登場で観客がギョッとするもの、妖術使いとして巨大化したガマガエルに乗って出てくる児雷也など、インパクトのある絵画がたくさんありました。実際の歌舞伎ではガマガエルがどんどん大きくなり、大道具さんの腕の見せ所だったそうです。

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 次は「クスッ」と笑える笑いのコーナーです。
 幽霊役を得意とする架空の歌舞伎役者、小幡小平次(こはだこへいじ)が殺されて幽霊になってしまい、仲間のところに化けて出たのに本物の幽霊だと信じてもらえない、というまぬけなストーリーのお話を伺うことで、その絵画を見るときに思い出して、思惑通りクスッと笑ってしまいました。他にも着飾った傘のオバケや踊る化け猫などのかわいらしく微笑ましい絵画がたくさんありましたよ。

 そして最後に会場を後にするとき、役者さんの掛け軸のようなものが1枚ありました。
これは押し戻しといって、歌舞伎では独特のいでたちの勇者が怨霊(おんりょう)や妖怪(ようかい)の前に立ちふさがり、その行く手を阻むという演出を描いたものです。花道から舞台へ怨霊や妖怪を押し戻したので、お客さんには何も害はありませんよ、という厄払いのようなもので、この会場の最後にこれがあることで、鑑賞した方々にも害はありません、ということなんだそうです。

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 ところどころにユニークな骸骨が!

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 興味深いお話を沢山聴かせてくださいました、学芸員の太壽堂様、本当にありがとうございました!

 「ひゅうどろどろ怪奇まつり~歌舞伎に出てくるオバケだぞ」は9月4日(日)まで、開館時間は午前10時から午後5時(入館受付は4時30分)までです。毎週月曜日は休館日です。入館前の検温、アルコール消毒などしっかりと感染予防対策が実施されていますので、夏休みの思い出作りに、時に恐ろしく、時にユニークな歌舞伎の世界のオバケたちに会いに逸翁美術館に足を運んでみてはいかがでしょうか?

『SENRI・STREET』
月曜〜木曜日13:00~14:00放送中!